AREJ mail magazine No.4 2013/11/8

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【1】 Juan Antonio Olañeta Molina博士 講演会のご案内
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 AREJは「日本におけるスペイン年」の協賛として、スペイン最大のロマネスク組織
 「Amigos del Románico(ロマネスク友の会)」の会長、Juan Antonio 
 Olañeta Molina(フアン・アントニオ・オラニェタ・モリーナ)博士を
 招聘いたします。
 12月2日に東京で、12月3日に大阪で講演会が行われます。
 ただいま両日ともご予約を受付中です。
 お申し込み方法・ご予約締切などがそれぞれ異なりますのでご注意ください。
 *どちらの講演会もAREJ会員以外の方もご参加いただけます。

 -----------------------------------------------------------------

【東京】
 El Románico: las claves para entender el arte de una época
 ロマネスク美術:一時代の美術を理解するための鍵(通訳あり)

 日 時:2013年12月2日(月)
 会 場:在東京スペイン大使館オーディトリアム(東京都港区六本木1-3-29)
 時 間:18:30〜
 参加費:無料(要予約) 
 定 員:100名(定員になり次第締め切ります)

【同時開催】『香取慶子木版画展───スペイン・ロマネスクの世界』
 木版画でスペイン・ロマネスク美術の世界観を本格的に表現する作品20点を
 展示します。

 ───「ロマネスクと木版画」の組み合わせは「中世と現代」を、そして
   「スペインと日本」を繋ぐ。日本スペイン交流400周年において、
    すばらしい企画である。(フアン・アントニオ・オラニェタ博士)

 *講演会のあとにイベントホールにて簡単なカクテルパーティがございます。

 *以下のフォームよりお申込みください。

 -----------------------------------------------------------------

【大阪】
 El Románico en España. Iniciación a un arte fascinante
 スペイン・ロマネスク美術 ー幻想的美術への序章ー
 
 日 時:2013年12月3日(火)
 会 場:関西外国語大学ICCホール(大阪府枚方市)
 主 催:関西外語大学 イベロアメリカ研究センター
 時 間:18:30〜20:30(開場18:00)
 参加費:無料(要予約) 

 *お申し込み方法
 メールかハガキで《 11月20日 》までに申し込んでください。
 メール: ibero25@kansaigaidai.ac.jp
 ハガキ: 〒573-1001 大阪府枚方市中宮東之町16-1
      関西外大 ICC内 イベロアメリカ研究センター
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【2】 『スペイン・ロマネスク美術 入門』第三回のご案内
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 『スペイン・ロマネスク美術入門』講座、次回はアストリアス美術とモサラベ様式
 について学びます。
 モサラベはスペイン・ロマネスク美術を特徴づけるひとつの様式です。

 第三回講座は申込み締切が《 11月13日午前中まで 》となっております。
 お申し込みはこちらからどうぞ。

 -----------------------------------------------------------------

 『スペイン・ロマネスク美術入門』―Iniciación al Arte Románico Español
 第三回 プレロマネスク時代 Ⅱ アストリアス美術、モサラベ様式(8世紀〜10世紀)
 
 日 時:2013年11月20日(水) 
 講 師:勝峰 昭
 会 場:在東京スペイン大使館オーディトリアム(東京都港区六本木1-3-29)
 時 間:18:30〜20:30
 参加費:無料(資料代別途:500円)
 定 員:40名(先着順)
 後 援:スペイン大使館

 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【3】 『サン・サルバドール・デ・バルデディオス教会』
                ───ロマネスク木版画展に寄せて 香取慶子
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 こんにちは、香取です。12月2日のオラニェタ博士の講演と同時開催の
 「スペイン・ロマネスクの世界───香取慶子木版画展」では20点出品します。
 その中のひとつ、サン・サルバドール・デ・バルデディオス教会を紹介します。

 -----------------------------------------------------------------

 レオンからオビエドへ、アウトピスタ(高速道路)で北上する。
 ここの山並みは中世の時代、イスラムの侵攻を妨げる大きな役割を演じて、
 結果アストリアス美術を今日まで残すこととなった。
 オビエドの町は古都という佇まいで、ゆったりと気品高い。
 世界遺産ナランコ山のプレロマネスク教会を訪ねた後、東へ約40km車を走らせ、
 サン・サルバドール・デ・バルデディオス教会へ向かう。
 “バルデディオス”【神の谷】という名前の付いた村名である。
 途中一本道の山道を迷ったわけではないけれど、「この道で間違いない」と
 言ってほしくて、道端で作業する粉まみれの農作業中の青年に尋ねた。
 これまで何度ちょっとした勘違いから別方向に走って、来た道を戻ったことか。

 ここの16時はまだ日差しが強い。
 教会を包むような緑地をさらに取り囲む鉄格子は閉まっていた。
 格子越しの教会は小山を背負って、シンとしている。まだシエスタの時間なのか。
 半時間ほどうろうろしていると、小さな車に乗って中年の女性がやってきた。
 山の中腹にある家からこちらを見て降りてきた由。観光客慣れしたその女性は開口一番
 「あなた方が日本人で初めてここに来たなんて思わないでね」と言う。
 少々心がざらつく。いったい何人の人が彼女に「ここまで来た初めての日本人だろ?」
 と言ったのだろうか。
 セゴビアのサン・フスト教会の初老の管理人を思い出した。
 彼は「あなた方が初めてここを訪れた日本人ですよ。」と言った。
 もちろんリップサービスである。

 その個性的な女性はなぜか私たちだけを案内し、話しているうちにどんどん調子が
 上がって、祭室の明かりをつけて天使像の壁画の説明をこと細かにしてくれた。
 写真撮影ポイントを教会の後ろまで回って丁寧に教えてくれた後、あとはゆっくり
 見てね、と土産物店のカギを開けに行った。
 主祭室の三連窓は、比較的明かりを中に取り入れやすくしているが、
 外側(東面壁)から見ると暗い祭室が静謐に存在していることを感じる。
 モサラベ様式の特徴的な透かし窓も内から見るのと外から眺めるのでは、大きく趣を
 変え迫ってくる。

 サン・サルバドール・デ・バルデディオス教会の心に残るいくつかのパーツが
 浮かんでは消えまたあらわれ、教会守りの彼女の家まで一つのパーツになって、
 それを再構築したら、ひとつの絵になった。私のバルディオスの記憶。
 帰りのくねくね山道で、往きに道を尋ねた気のいい青年がまだ働いていたので、
 徐行して手を振った。アディオス!


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【4】 勝峰 昭のコラム: 第四回 「奇跡」について
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 世俗の人たちは、神学に興味を持つ僅かの人たちを除き、「奇跡」という現象
 (この言葉が妥当かどうかは解らないが)を宗教問題に関連させ易い。
 果たしてそれは正しのだろうか。

 奇跡とは英語でmiracle、西語ではmilagroという。広辞苑をひくと
 〈常識では考えられない自然法則を超越した不思議な現象で、宗教的真理の徴と
 みなされるもの〉と定義されている。
 しかし我々AREJが考究しているスペイン・ロマネスク美術の時代である西欧の
 中世においては、奇跡は日常茶飯事に起こり、ロマネスク図像(とくに彫刻)にも
 数多く、とりわけ福音書由来のものが取り入れられている───ロマネスク図像と
 しては、「ラザロ蘇生」、「カナの饗宴」、「盲人の治癒」などがある。
 しかし当時は何が奇跡で何がそうでないか、人々ははっきりと認識していなかった
 ように思える。大体奇跡という概念すらあやふやの時代で、単に何となく異常な
 ことが起こったぐらいの感覚だったのだろう。
 この点現代の科学万能時代にあっては、奇跡が起こると殊更騒ぎ立てる。

 私はこれまでの人生で三度ほど実際に奇跡的な出来事に遭遇している。
 また長く働いていた会社の海外統轄関係の仕事をしていたとき、一海外支店で
 奇跡が起こった一つの事例を具体的に報告され、その当時はにわかには信じられず、
 心底驚いたことがある。

 キリスト教神学では、奇跡は「下位の教義の例外」とされていて、いわゆる自然法
 (科学)の例外として認識されている。

 今の時代に馬鹿げているとして無碍に退けないで、形而上学的世界に意味を認めては
 どうだろうか。何故なら今我々が生きているこの世のすぐ裏側に別の世界があると
 思うと、何もないよりはなんとなく安らぎを覚えるからだ。

 当代のキリスト教神学者ハルナックが講演録『キリスト教の本質』で云う:

 〈誰がこの世において今までに可能と不可能との領域を間違わずに区別したか、
  一人もいない。〉

 正しくその通りで、奇跡がこの世に存在しないと誰が断定できるだろうか。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【5】 事務局だより:AREJ事務局スタッフを募集します
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 AREJ事務局は、講演会や講座での受付、メルマガの編集・広報などを
 手伝ってくださるスタッフを募集いたします。
 私達とともにAREJの活動を作り上げていきたいと思って下さる方が
 いらっしゃいましたら、ぜひお力をお貸しください。
 (AREJの運営はすべてボランティアで行っています。報酬はございません)

 -----------------------------------------------------------------
  
 ◯時間的な拘束はどの程度でしょうか?
  受付の場合、講座の受付開始30分前に集合していただきます。
  その時その時にご都合のつく方に担当していただくようにしますので、
  出来る範囲で手伝っていただければ大丈夫です。

  メルマガ編集などは、基本的にメールやfacebookでのやりとりとなります。
  決まった時間の拘束はありません。こちらも出来る人が出来るときに
  担当していただく、というスタンスです。
  ただし、なるべく普段からこまめにメールチェックをされている方、メールの
  レスポンスの早い方が望ましいです。

  関東在住ではないので講座の受付はできないけれど、遠隔でできることなら
  参加してみたい、という方もOKです。

 ◯応募の条件は?
  仕事の割り振りや相談は基本的にはfacebook上で行います。
  facebookのアカウントをお持ちの方、今後facebookを始めてもよい、と
  思われている方が応募の条件となります。

 ◯スタッフのメリットは?
  AREJの活動はまだ始まったばかり。私どもも試行錯誤しながら運営しています。
  スタッフの意見がメルマガの企画や今後の運営に反映されていくことも大いに
  あるでしょう。
  この組織を作り上げていくことにご興味のある方、ロマネスクを愛好する会員の
  皆様と積極的に知り合いたい人には、やり甲斐のある活動になると思います。

 -----------------------------------------------------------------
  
 この件に関してご応募・ご質問などは、メールのタイトルを
 「スタッフ募集について」と記載して、〈 romanico.espanol@gmail.com
 までご連絡ください。
 ご応募お待ちしております。(事務局長 白石)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 このAREJ MAIL MAGAZINEは、スペイン・ロマネスク・アカデミー(日本)の
 会員の皆様に向けて、配信しております。

  AREJ mail magazine No.4
  □編集・発行 : スペイン・ロマネスク・アカデミー(日本)事務局
  □発行日   : 2013年11月8日
  □URL     : http://arej.jimdo.com/
  □会員情報の変更・退会などの場合は、以下までご連絡ください。
  □理事長ブログ: http://blogs.yahoo.co.jp/elromanicoes

  Facebookにてスペイン・ロマネスクの情報発信中!
  アカウントをお持ちの方はぜひご覧ください。
  □facebook : http://on.fb.me/AREJ2013
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━